ヒューストンの北約40マイルにTEXAS A&M UNIVERSITYがあります。この大学はBush元大統領の功績を検証することができるライブラリーがあり、クローン研究を含む畜産学などで特に有名です。
このA&Mのキャンパスの東の端に、大学の講座を学外に公開する機能を持つTexas
Engineering Extension Service (TEEX)のFire Protection
Training Divisionがあります。
この Fire Training Centerは1994年に創設され、1200エーカーの敷地に完備された120の施設と充実した各種の訓練コースがあります。このため、全米の関係者が定期的に訓練を受けに来るだけではなく、日本を含む世界中から関係者が訪れます。例えば、石油備蓄基地の消防関係者などが、限りなく実物に近い環境の下での訓練を受けるためにこのセンターに集まってきています。
ここで特に重点が置かれている訓練は、Industrial Trainingとよばれる石油化学工場、備蓄基地、ローディングターミナル等で生じる大規模な火災の消火訓練です。このセンターには実物そのままの施設、例えば蒸留塔、 タンクローリー、ローディングターミナルのパイプ群等があり、実際に可燃ガス、ガソリンなどが吹き出して炎熱地獄を作り、あるいは貯留タンク中の重油が引火して天を焦がすような状況が出現してくるのです。
これに対応して、ホースでの放水による水幕の援護の下にバルブを閉じる、あるいは泡状消火剤の放出によって、危険なボイルオーバーが起こる前に火災を鎮圧するのがこの訓練です。実際の火災さながらの威圧感を持ちながらも、ここで起こる火災は熟練した技術者によって安全にコントロールされています。
圧巻は船舶火災の消火訓練ですが、このためにセンターには戦時中に建造されたリバティー船のエンジンルームがそっくりそのまま設置されています。暗闇の中に燃えるディーゼル油の炎がわずかに階段を照らす船中を、呼吸器と消防服に身を固めた受講者が、黒煙を突破して火元に近づき放水、鎮火させるのです。訓練とはいえ、鎮火までの数分間は息を飲むような緊張感に包まれます。
このIndustrial Training以外にもMunicipal Training(都市防災訓練)、Heavy
Rescue Training(重災害救助訓練),
Oil Spill Control Course(石油 漏洩防災訓練)などのコースがあり、都市防災訓練は都市火災、ことに高層ビルの火災、飛行機事故の対策など、重災害救助訓練はオクラホマ市のテロによるビルの崩壊を経験した合衆国政府が、その後のワールドトレードセンターへのテロ等もふまえ、巨大ビルの崩壊や地震災害の際の救助についてのコースなどを含みます。
これらのコースは必要に応じ2―3日間の短いコースから、2週間あるいはそれ以上のコースまであり、ある程度の人数がまとまればフレキシブルに組むことが可能です。受講終了後はTEEXによる終了証が交付されます。
このように日本では経験不可能な実物並みの模擬火災を経験することは、実際に消防活動に携わる方はもちろん、地震国日本に住む皆様にとって貴重な体験となること間違いありません。
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